皆伝を取るまで 六段中期

六段中期 ( beatmaniaIIDX 20 tricoro〜beatmaniaIIDX 21 SPADA )

六段を無事取得した私は変わらずbeatmaniaIIDXBMSをプレイしていた。主にプレイしていたレベルは☆8〜☆9で、それより下のレベルと比較すると鍵盤の密度はもちろん、そこに絡んでくる皿も多くなってくる。

すでに周知の事実かもしれないが、対称固定では皿が来た際にそのフォームを崩さないということは極めて不可能に近いできたとしても手への負荷を考えればやるべきではない)。ここで崩しという概念が出てきて、とりあえず左手の指を使えば皿は取ることができるが、今度は鍵盤が取れなくなってしまうのだ。皿に1鍵+3鍵などが絡んできたらどうしようもなくなってしまう。
この問題に対するソリューションは意外にも、High School Love SP ANOTHERをプレイすることによって発見することができた。この曲のSP ANOTHER譜面は正規ではスクラッチ+1鍵または3鍵の配置が結構降ってくる譜面となっている。ここで、親指を反らして1鍵と3鍵を同時に取ればスクラッチも無理なく取れるということに気づいたのだった。

皿に対する崩しを覚え、とんとん拍子に進むかとこの時は思っていたが、現実はそう甘くなかった。どの難易度でも変わらないとは思うが、☆9の中でも簡単なものと難しいものが存在している。☆10など論外で、それらの差は当時の私の中でかなり大きなものとなっていたのだ。
この時はもともと認識が間に合うぎりぎりの譜面を中心にプレイしていた。座ってプレイできるBMSとは違い、立ちながらプレイしなければならないACではそもそもの体力消費が比べ物にならないほど多く、そこに認識力ぎりぎりの譜面が降ってきたら体力がもたないのは自明であろう。この段階では脱力するという概念が一切なく、力の限り鍵盤を押していた、いや叩いていたと言った方が正しいかもしれない。

同じ難易度でもその難易度の差が大きいということは、伸ばさなければならない認識力や打鍵力も比例のグラフを描くということだ。そしてそれは、六段までとは比べものにならないほど大変ということになる。実感を感じられる機会がなくなりつつあるなかで、私のゲームに対するモチベーションも落ち続けた。落ち続けてほぼ0––ほとんど挫折のようなもの––になり、もう辞めてしまおうかと思ったのは高校2年生の末期、春休みに入るか入らないかぐらいだったかと思う。もちろん七段を受けても受かるはずもなかった。一応、以下に当時の七段の曲目を示しておく。

beatmaniaIIDX 20 tricoro 段位認定 SP七段

1. Rising in the Sun(original mix) SP HYPER
2. Bloody Tears(IIDX EDITION) SP HYPER
3. FIRE FIRE SP HYPER
THE SAFARI SP HYPER
4. THE SAFARI SP HYPER

Rising in the Sun(original mix)の時点で補正に入り、FIRE FIREのしつこい皿複合はいくつ私の屍をゲームファンタジア平塚店に造ったか分からない。

 

閑話休題

いつもならここで諦める私なのだが、なぜかこの時だけは違った。「もう少しやって駄目なら諦めよう」と思えたのである。今となっては不思議だ。ここで現状を打破する方法を本気で考えるようになった。
下位の譜面すらまともに押せないのでは、上位など押せるわけない––自分自身では意識しなかったのだが、無意識の内にミスを減らすことを意識しだしたのだろうか、このあたりから☆9のいわゆるハード埋めをしだした。ハード埋めのスタートは先の投稿で示したquasar SP HYPERだとかBroken SP HYPERである。
トリカゴノ鳳凰 SP HYPERや不沈艦CANDY SP HYPERがHARD CLEARできるようになったころには☆9はもちろん、☆10も調子が良ければ何かしらのクリアランプが期待できるというところまで伸びた。

この時にはすでに高校3年生に進級し、道を歩けば落ちてくる桜の花が肩に着地する時期となっていた。