小指事件

 ふと思い立ったので、私の1年前のことについて書いていこう。

私がbeatmaniaIIDXというゲームに初めて100円を投入したのは消費税が8%になる前の年の冬だったと思う。しかしながら、「それから、今日までこのゲームをずっと続けてきた」と書くと嘘になるきっかけを生んだのがちょうど1年前なのだ。
自身では小指事件という名前をつけている出来事が起きた。事件とは物騒な名詞であるが、私にとってはまさに事件そのものだった。簡単に言えば、右手の小指が痛み、携帯を持つのも容易ではなくなってしまったのである。自転車のブレーキですら気をつけないと激痛を覚えていた。
原因は言うまでもなく自身のプレイスタイルにある。とにかく速く打鍵しよう、とかなり力みながらbeatmaniaIIDXの☆12や発狂BMSの★7〜★9あたりに特攻をかけ続けた結果、私の小指はついに悲鳴をあげる羽目になってしまった。早く皆伝を取りたい、その高すぎる目標は私に身体の限界を超えたプレイングをもたらした。愚かにもそれに気づかず、身の丈に合わない特攻を繰り返せば故障してしまうのは必然だろう。


孫子は次のような言葉を遺している。彼を知り己を知れば百戦殆うからず。私は対峙する譜面はおろか、自身の腕前すら知ろうともしなかったのである。
具体的に言ってしまえば、手首を使わず、指だけを動かして打鍵していたことだろうか。平均密度(総ノーツ数/演奏時間)が2桁にもなってくると、それだけでは到底間に合うわけもないのに、脱力をして指先を速く動かせば皆伝を取れると盲信していた。

次に、譜面の癖にもよるが、ミスカウントが総ノーツ数の1割を超えるようでは練習にはなっていないというものである。これは全く根拠がないわけではなく、このゲージの仕様上、それだけミスが出ていればEASYですらゲージが地を這っている––つまり自身の認識力だとか、打鍵力の限界を遥かに超えているということになるのである。

 

話題が逸れたが、この事件によって私のモチベーションは完全に破壊され、beatmaniaIIDXのステージから1年間離れることになった。本当に短い期間ではあったが、このゲームを見るのも嫌だった時期すらあったのに、今はモチベーションが非常に高まっている。深夜帯にBMSをプレイすると近隣の迷惑になるのでできないのがもどかしいぐらいだ。

 

歴史は繰り返すというが、この歴史は繰り返したくないと思う。