バイクの免許を取った話 (前日譚)

はじめに

COVID-19、通称コロナウイルスが全世界に広まり、今までの生活が大きく変わった。 このような言い方は些か不謹慎であると感じられるが、しかしコロナウイルスがなければ私はバイクを買うことはなかったのも事実である。 コロナウイルスが、パソコンとインターネットへの接続環境さえあれば業務を遂行できるよう変化をもたらした。もはや満員電車に1時間以上揺られながら本社に赴く必要はなくなり、自由な時間がかなり増えたところで、音ゲー以外になにをしようかと考えていたところ、ふとバイクに乗ってみようと思ったのがきっかけだった。  

もともと原付二種には興味があった

大学3年生のころに、私は高いくせに遅い公共交通機関での通学から原付一種に切り替えた。 混み合う通勤電車から解放され、終電という概念が消え去り、さらに遅番のアルバイトを終えたあと悠長にラーメンを食べても帰路に着くことができるようになる大きなメリットを得たのであるが、原付一種特有のデメリットもあった。

原付一種特有のデメリット

原付一種の大きなデメリットは2つある。30km/hまでしか速度を出せないことと、標識で示されていたり、3線以上の通行帯が存在する交差点において二段階右折を強いられることだ。 青色の色紙に警察のサインをもらうリスクを常に背負いながら四輪車や他のバイクに追従して走ることのストレスはそれなりにあり、前述の制約から解放される原付二種には興味がもともとあったのである。しかしながら、金銭的な問題もあり、それは原付免許より上位の二輪免許を取得する駆動力にはならなかった。  

コロナウイルスをきっかけに

冒頭でも書いた通り、再び公共交通機関から解放されると、バイクへの興味が私のもとに回帰する。2月ごろに予約していたドイツ旅行がコロナウイルスで行けなくなり、その分のお金が戻ってきたのもあり、本格的に二輪免許を取ることを考えだした。 二輪免許を取ってから乗りたいバイクを探すか、もしくは乗りたいバイクを決めて二輪の免許を取りに行くかは人によると思うが、私は後者だった。  

アドベンチャーバイクという選択肢

自分の乗りたいバイクを探していくうちに、さまざまな種類のバイクがあることを知ることになる。 ふとバイクに乗ろうと思い立った時にはCBR400Rのようなスーパースポーツ(私の父の世代はレーサーレプリカということが多い)タイプのバイクしか知らなかった。少なくとも、G310GSに出会い、直感でこのタイプのバイクに乗りたいと思うようになるまでは。 どうやらアドベンチャーというカテゴリに分類されるらしいこのバイクは、オンロードを主体としながらもオフロードもそれなりにこなせる、多目的に適するバイクである。近距離から長距離のツーリングまで高いレベルでこなせるこのバイクは私を惹きつけて離さなかった。  

大型免許が必要

乗りたいバイクのタイプが決まったところで、具体的に乗りたいバイクを探す段階になった。 私がアドベンチャーバイクに求める条件は以下の通りだった。

乾燥時重量(ガソリンが入っていない状態)で230kg前後

教習車のNC750Lが教習用の灯器やバンパーを取り付けた状態でこの条件より少し軽いぐらいで、教習車と同じぐらいか軽いなら扱えると想定する。

長距離ツーリングに適している

極端な話、50ccの原付でも日本一周できるとは思うが、余裕が欲しい。

両足かかとがつく

初めてのバイクなので、立ちゴケのリスクを少しでも排除したい。  

この条件で探していき、最終的に候補に残ったのはTRACER900GTと購入に至ったF750GSの2つ。前述の3つの条件に加え、デザインや搭載されている機能もほぼ同格で、金銭的に余裕があるなら2台とも所有したいとまで思わせた車種である。 ちなみに両者とも排気量は400ccを優に超えており、日本国において要求される免許は大型自動二輪免許だ。  

準備はできた

バイクの動画を見ていたら朝になっていたり、道を原付で流している時に横をバイクが通り過ぎたら目で追うようになったりしているうちに、3ヶ月が経つと、下調べはあらかた終わっていた。欲しいバイクも決まり、必要な免許もはっきりしたのは残暑がまだ厳しい8月下旬。バイクを買うのもまだ先だろうし、何より暑すぎて教習に集中できないから秋から取ろうしていたのだが、友人のアドバイスで早めに取ることにした。後にこの判断は正解だったと思い知ることになる。 東京と千葉にヘルメットとグローブを買いに行き、ちょうど返金されたドイツ旅行のキャンセル分の一部を握りしめて教習所へ行った。